非噛合い・異方向回転2軸 vs 噛合い・同方向回転2軸 – 押出性能はどう変わるのか?

シーティーイーが開発した「HTM型タンデム式混練2軸押出機」は、非噛合い・異方向回転というユニークな構造を採用し、これまでの2軸押出機とは異なる混練性を実現します。本記事では、従来の「噛合い・同方向回転」型のタンデム式押出機と比較した実験を通じて、HTM型の優位性とその技術的背景をご紹介します。
1.構造の違いが生む性能差
2軸押出機の性能を左右する最も重要な要素の一つが「スクリューの構造と回転方式」です。今回比較するのは、シーティーイーのHTM型に代表される「非噛合い・異方向回転2軸」と、従来一般的である「噛合い・同方向回転2軸」です。
非噛合い・異方向回転2軸(HTM型)
この構造では、混練部の2軸スクリューが互いに噛み合わず、逆方向に回転します。また、混練はローターエレメントで行います。非嚙合いのため、スクリュー間に空間があるため、脱気性に優れ、かさ比重の低い原料でもフィードネックが起きにくいという特徴があります。また、ローターによる混練により、せん断⼒は⼤きいですが、せん断時間がごく短く、圧縮と開放が繰り返されるため、混練発熱を抑制します。
• 瞬間的な高せん断で混練性を確保しながら、発熱を抑制
• せん断と圧縮は、ローターとシリンダーの隙間(H3)で発⽣し、混合物を練り上げます。
• H3は機械強度に関係なく⼩さくすることができるため、⾼せん断化を容易⾏うことが可能。
• シリンダーとスクリューの両方からの冷却に対応し、低温押出が可能
• 高い脱気性能により、フィードネックが起こりにくい
噛合い・同方向回転2軸(従来型)
従来の構造では、2本のスクリューが噛み合いながら同じ方向に回転します。また、混練にはニーディングディスクが用いられます。スクリュー同士が嚙合っているため、ガスの抜けが悪く、かさ比重の低い原料はフィードネックを起こしやすくなります。また、ニーディングディスクによる混練は、⾼速回転‧⾼圧縮状態のまま連続的に⾼いせん断がかかるため、発熱が⼤きくなります。
• 混練区間全体で強いせん断が継続し、発熱量が大きい。
• 主なせん断の場はニーディングディスクの厚みH2となり、H2の厚みは薄くなるほど⾼せん断が期待できるが、機械強度に制限される。
• 冷却はシリンダー側のみから行われ、、冷却制御に限界がある。
• 脱気性能が低く、フィードネックの原因になりやすい。
2. 比較実験:物性と押出性能の検証
材料
• 配合①(射出グレード):PBAT : CaCO₃ = 75 : 25
• 配合②(押出グレード):PBAT : CaCO₃ = 53 : 47
• HTM型では、MFRが低く、熱劣化が抑制されている。
• アイゾット衝撃値の高さからも、樹脂の熱劣化が抑制されていることが確認できる。
• 従来型よりも、高処理量でありながら、高品質なコンパウンド作製が可能。
3. まとめ:HTM型は高濃度フィラー・熱に弱い材料の強い味方
HTM型タンデム式混練押出機は、その独自構造により、従来では処理が難しかった高濃度フィラー配合や熱に弱いバイオマス・生分解性樹脂においても、高品質なコンパウンドを実現します。
• 発熱を抑えながら高い混練性能を発揮。
• 脱気性に優れ、フィードネックを回避。
4. 技術テスト・導入相談お気軽にどうぞ!
シーティーイーでは、HTM型タンデム式押出機のテスト・評価をご希望の企業様向けに、実機による材料試験を随時実施しています。押出条件の最適化や生産ラインでの導入に関するご相談も、お気軽にお問い合わせください。